ブルゴーニュ名所巡り・・

petitmatin2010-02-03

ご無沙汰しております。 1月30,31日とブルゴーニュのシャサーニュ・モンラッシェ村でワインの守護神「サン・ヴァンサン」のお祭りがあり、多くのワイン好きがやって来ました。
その前後、たて続きにワイン関連でのガイドのお仕事があり、その準備や訪問ドメーヌとの交渉で時間をとられて、ブログ更新が出来ませんでした・・

で、不在証明写真をいくつか・・



ボーヌ市内にある有名な「オテル・デュー:Hôtel Dieu」の内部。 神の館と言う意味を持つこの15世紀の建物は当時のブルゴーニュ公の大法官であったボーヌ出身のニコラ・ロランとその妻のよって建てられ、貧しく病気で苦しんでいる人々を無料で迎え入れました。 左側の写真は当時の病室を再現したもの。
ここは美術館も併設しており、右はフランドルの画家ロジェ・ヴァンデン作「最後の審判」です。 装飾屏風という折りたたみ式屏風にミニアチュール(細密画)技法で信じられない位の細かさ、精緻さで大天使ガブリエルを中心に地獄と天国へ振り分けられる人々の様子がリアルかつドラマティックに描かれています。
天使の左足元に黒枠に囲まれた男性の横顔が少しほかの部分と違って大きく浮き出ているのが判りますでしょうか。
この黒い枠の様な物は、大きな拡大鏡になっており、上下左右に動いて、細密画の精緻さを拡大して見せてくれます。 特に地獄へ落ちていく人々の表情は悲劇的ですごい迫力です。


こちらは雪の「クロ・ド・ヴージョ城」  城とは言いながら実はお城ではありません。 
13世紀頃、ここから約7km離れた所にあるシトー派の教会「Abbay de Cîteaux」はこのヴージョに広大なブドウ畑を所有していて、ワイン栽培、醸造の為にこの建物を建てました。  現在では13世紀のままの部分と16世紀に改築された部分から成っています。
右側は13世紀当時に使われていた巨大なブドウのプレス機です。  ブルゴーニュに現存する一番古いプレス機と言われています。  現在でも4機が保存されています。



こちらはジュブレ・シャンベルタン村に近いチーズ工場見学の写真。
「Gaugrie:ゴーグリー」というメーカーで創設者レイモン・ゴーグリー氏はチーズ好きなら堪らない「ラミ・デュ・シャンベルタン」を考案しました。
最新式の機械も取り入れてはいますが、多くの過程を手作業で行っています。
左側は見学後のお楽しみワインと試食の様子。 前述のラミ・デュ・シャンベルタンはもちろん、AOCの称号をもつエポワス、ラングルなど、チーズ好きには堪りません・・
隣接してショップもあり、お値段もスーパー並に押さえてあり、チーズ好きの主人は早速買い込んでいました。




こちらに登場の4名は、我々が訪問できた有名ドメーヌの方々です。
左上からシャンボール・ミュジニーのエレガントなワインを造りだす女性ヴィニョロンの先駆者「ジスレイヌ・バルトー」さん。 穏やかでゆっくりお話をして下さり、優雅で暖かい対応にすっかり魅せられてしまいました。
右側は多分ブルゴーニュで一番有名な日本女性「千砂・ビーズ」さん。  本も出版、日本でも数多くのワイン会や公演をされていて、ご存知の方も多いでしょう。  ボーヌ郊外のサヴィニー・レ・ボーヌ村のドメーヌ・シモン・ビーズの4代目パトリックさんの奥様です。  細身でエレガント、時には静かに、時には冗談を交えてワインへの情熱を語って下さいました。  ワイン以外にもブルゴーニュのロマネスク教会など古い歴史的建造物に興味があるとかで、主人と意気投合、いつか一緒に教会巡りでも・・と盛り上がっていました。
左下は新進気鋭、日本でもニュースターと言われているジュブレ・シャンベルタンの「ジェローム・ガレラン:Galeyrand」 ブルターニュ出身、ワインとは全然関係のない仕事をしていて、徐々にワインへの情熱が高まり2002年に小さなドメーヌを立ち上げた異色のヴィニョロンです。  ご案内したお客様がシャンボール・ミュジニーとモレ・サンドニの村にまたがる特級ワイン「ボンヌ・マール」のファンという事もあり、ガレラン氏は年間生産量たった300本という超貴重なボンヌ・マールの2008年を樽から試飲させて下さいました・・お客様の感激はかなりの物でした。
最後右側は同じジュブレの孤高のヴィニョロン「クリスティアン・セラファン」氏です。
あのパーカー氏が最高5つ星でドメーヌを採点して、その5つ星を獲得している方です。  数年前、私がブルゴーニュ大学のワイン講座「ワインと文化」を受講していた時、彼のお嬢さんカトリンも同じクラスでした。  悲しい事に数年前に跡継ぎの息子さんを事故で亡くされ、現在は殆ど1人でグランクリュを含む約6haを見ておられます。
幸い男の子のお孫さんがあり、彼がこのドメーヌを継いでくれるまでは頑張ると静かにかつ情熱的に語って下さいました。  前日に訪問した同じ村の有名ドメーヌ「ジャン・ルイ・トラペ」で、明日はセラファンさんに行くと言うと、トラペの現当主のお母様が「クリスティアンほどの働き者は居ない、私がいつもより早起きして畑に行っても、もう彼は作業を始めてる、いつも彼の方が早い・・」と感嘆しておられました。  セラファンさん、お孫さんの為にも元気で、素晴らしいワインを造り続けて下さいね。


雪がふり、朝の気温がマイナス9度の日もあり、朝車のドアが凍って開けられないなど、お天気には悩まされましたが、多くの方との出会いがあり、充実した数日を過ごす事が出来ました。

  気分を入れ替えて、ブログ更新と溜まりに溜まったアンティークの整理をしていかなければ・・