ディジョンといえば・・・ムータルド!

petitmatin2009-01-27

私がディジョン在住と言うと、大概のフランス人は「あー、ムータルドで有名ねえ」と答えるくらい、ディジョンとムータルドは同義語化しています。


そのディジョン=ムータルドの象徴である「アモラ:AMORA」というムータルド製造工場が閉鎖の危機に瀕していて、大げさでなく何度も何度もデモが繰り返されています。

創業ははるか1703年にまで遡り、フランソワ・ネジョン氏がビネガー作りを始めたのが最初で、彼の子孫が1919年に「AMORA」のマークを登録し、1931年より当時の所有者レイモン・サショ氏が「AMORA」マークで製造を開始しました。
AMORAというロゴには「amour de moutarde」の意味が込めてあるとか。

1950年代に飛躍的に発展し、ムータルド以外にもビネガー、ケチャップ、マヨネーズ、コルニション(ピクルス)などを次々に手がけ、この手の分野ではフランス一になりました。

2000年にお馴染み「マイユ」共々「UNILVER:ユニルベール」グループに吸収合併されました。
2009年12月一杯で、ディジョンのシンボルともいえる「AMORA」のディジョン工場の閉鎖が決まり、ディジョンっ子達に衝撃を与えています。


そのAMORA支援の一環として、歴史美術館と市役所で展示会が開かれています。
ブルゴーニュ公国宮殿をそのまま利用した市役所の「アポロンの間」での展示会に行って来ました。
写真では判りにくいのですが、階段の各段にデモの様子が張られています。
美術館とは違い、小さな展示会で、ムータルド容器の歴史が中心です。


何とこのバケツ型の容器は1980年後半に主人がコレクションしていたのを、この美術館にお分けした物だそうです!
写真を見て、懐かしがっていました。 1950年代始めの物だそうです。


この大きな容器は1950年代の物で、昔はカラシ入れを持ってエピスリーなどに買いに行くと、こういった容器からにょろにょろとカラシを出して売ってくれたそうです。
11月末にあったオークションでこれによく似たのが200ユーロで落札されていました。 欲しかったなあ・・

 
これらの容器は1950年代から80年代のものです。 地球儀型は特に有名で、コレクター垂涎のお宝です。 50年代の傑作。


AMORA版飛び出す絵本。 イソップ物語にAMORAが登場しています。


1955年にコップ型と小瓶型の容器の販売数が350万個を突破した記念を祝して。


この3個は1897年のパリ万博に出品したもの。

 
アンティークの容器の移り変わり。 右は一番古い物で1736年製。 左側の8つは1775年から1914年以降の物まで。

AMORAがディジョンから消えて行くのに引き換えて、ムータルドの古い容器はアンティークのコレクターの間では、凄い人気で目玉が飛び出るような値段を付けています。
何か皮肉な感じですね。